ベイビーシアターの可能性

神戸新聞にも大きく扱われた

2012年の秋から、川崎で「ソラカフェ」という期間限定のカフェを開いていた。普段稽古場としてお借りしている「川崎ファクトリー」のご厚意で、好きなことをやっていいよ、と言っていただき、子ども連れで芝居を観ることができるカフェという触れ込みでコンセプトを作りこんだ。

行ったことと言えば

・0歳児が観ることのできる「演劇」をつくる
・母親(たまに父親)が子どもを連れてこられる文化的な場所を設ける
・地元の高校の演劇部員による、カフェ営業を行う

といったところだ。

最初はトライアルのように始めたが、話題になってまた次の年も、次の年も行うことになり、結局5年ほど続けた。その間に「走れメロス」のようなレパートリー作品もいくつかできたのだった。

今回、城崎アートセンターでアジアのベイビーシアターに関わっている俳優・演出家・研究者などが集まり、欧米での事例を確認したり、それぞれの国での取り組みを発表する中で、私もソラカフェの取り組みを発表させてもらった。なるほどこれは「ベイビーシアター」だったのか、と名付けられて腑に落ちる部分もあった。

ソラカフェはコミュニティカフェの色合いも強く、特に意識したわけではないがかなりインクルーシブな環境だった。あの頃やっていたことをすこし整理して、言語化するだけで今、世の中に必要とされているものができるかもしれない、という期待が持てた。

城崎では俳優としてショーイングにも参加したが、これがとても勉強になった。ベイビーシアターの作り手は「感覚」を理論化しながら、最終的にはやはり「感覚」で舞台に立たなければいけない。この「感覚」⇔「論理」のひっきりなしの切り替えは、俳優にとってはなによりも磨かれなければいけない部分だ。現在学んでいるスタニスラフスキーのメソッドでも、生かしていけるものだった。この作品は、小作品ではあったが私にとってはひとつの転換となる大事なものとなった。

ソラカフェの事例については、もう少しまとめて言語化していこうと思う。

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